Q:現在はどこでどのようなお仕事をなさっていますか。
A:(株)フジテレビジョンに勤めています。朝昼夕夜のニュース番組を制作する報道局という部署で、政治部首相官邸担当の記者をしています。政治に関する情報を取材し、ニュース番組に向けた原稿を書いています。記者の仕事は、各々の現場からいち早く正確な情報を視聴者に伝えること、そして何と言っても、他に先駆けてスクープをとることです。
Q:なぜ、現在の職場を選んだのですか。
A:高校時代の恩師の影響で、文章を通じて、自分の考えや情報を伝えることに興味がありました。大学で言語を学んだ経験を通じて、やはり「伝える仕事がしたい」という思いが強くなり、テレビの記者を目指しました。ニュースの現場では、1分1秒の単位で競い合い、毎日が飛ぶように過ぎる忙しさですが、フジテレビの気風はとても明るく自由闊達で良い職場です。
Q:ロシア語学科で学んでよかったと思うことは何ですか。
A:海外のニュースを扱う場合など、外国語の知識が求められる場面は多々あります。私の職場には英語、中国語はもちろんアラビア語使いもいますし、私自身も海外特派員を目指しているため語学のスキルは必要不可欠です。
また、ロシア語学科は先生方と学生の距離が非常に近い学科で、語学以外にも様々なことを教えて頂きました。学生時代のエピソードですが、課題を忘れた私に対し、普段温厚な教授が「あなた方は大学を卒業する時、ロシアの専門家として社会に出ていく。その重みを自覚しなさい」と厳しく叱責されたことを鮮明に覚えています。学生気分が吹き飛び、プロフェッショナルとしての一翼を担う責任を自覚した瞬間でした。ニュース番組では、専門的な情報をいかにわかりやすく視聴者に伝えられるかが大事な視点となります。そのため、記者は情報を読み解き、解説するための専門性が求められます。教授に教えて頂いた「プロとしての自覚」は、記者として働く今も大切にしている教えです。
Q:在学中に一番印象に残っていることはなんですか。
A:一言でいえば、「厳しい」ということ(笑)。1クラス10人程度、課題やテストが多く、決して優秀な学生ではなかった私ですらも、ロシア語漬けの日々でした。とても贅沢な環境だったと思います。大学時代、必死に学んだり、何かに打ち込む経験をすることは、当たり前なようで実は必ずしもそうではありません。学生時代に学んだことは、確実に蓄積されます。ロシア語学科は学ぶ場として、最適な環境です。先生方の厳しさがいかに温かいものだったか、社会に出てからひしひしと感じています。
Q:後輩へのメッセージ。
A:「まず相手に共感すること。そして、共感される人間になること」。これは私が大切にしている信条です。皆さんは社会に出てから、より多くの人々と出会います。各々に立場があるため、時に意見が対立したり、利害が複雑に絡み合って解決するのが難しい局面も出てきます。そんな時でも諦めずに、相手の立場に思いを巡らせ、共感してみてください。真摯に向き合えば、どんなに困難なことでも小さな解決の糸口が見えてくることがあります。
想像力をたくさん働かせて、出会った人々との関係を深めてください。応援しています!